
「スナックを開業したいけれど、どんな許可が必要で、どんな手続きをすればいいのか分からない…」そんな不安を抱えていませんか?
初めての開業では誰もが同じ壁にぶつかります。必要な許可を知らずに準備を進めてしまうと、あとから申請し直しになったり、最悪の場合は営業停止になることもあるのです。
しかし安心してください。本記事を読めば、スナック開業に必要な許可の種類や取得方法を整理して理解できるようになります。「接待をする場合」と「接待をしない場合」で異なる手続きや、必ず必要になる飲食店営業許可や消防関係の届出についても、分かりやすくまとめています。
この記事を読み進めることで、開業に必要な全体像を把握し、何をいつ準備すれば良いのかが明確になります。その結果、不安を抱えたまま進めるのではなく、自信を持ってスナックの開業準備を進められるのです。
専門的な内容もかみ砕いて解説していますので、専門知識がない方でも安心して理解できます。まずは全体の流れをつかむことから始め、理想のスナック開業に一歩近づいていきましょう。
スナック開業に必要な許可はどれ?

スナックを開業する際には「飲食店営業許可」だけでは足りません。実は、接待をするかどうかで取得すべき許可が変わります。さらに、どちらの場合でも消防署や保健所への届出が必要です。ここでは、まず全体像を整理したうえで、接待の有無による違いを分かりやすく解説します。
スナック開業で必ず必要となる許可・届出の全体像
スナックを開業する際に欠かせないのが「飲食店営業許可」と消防署への各種届出です。
飲食を提供する以上、保健所からの衛生基準のクリアは必須であり、火災リスクのある店舗運営には消防法上の手続きが定められているからです。
具体的には、防火対象物使用開始届や防火管理者の選任、防火設備の設置届などがあります。これらを怠ると開業できないだけでなく、営業停止のリスクにもつながります。
まずは必須の許可と届出を押さえることが、スムーズな開業の第一歩です。
「接待あり」と「接待なし」で変わる必要な許可の違い
スナック開業で大きな分かれ道となるのが「接待の有無」です。接待を行う場合は「風俗営業1号許可」が必要になり、人的・立地・施設要件を満たすことが求められます。これは取得まで時間がかかるため、早めの準備が大切です。
一方、接待を行わずに深夜0時以降も営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出すれば営業が可能です。
同じスナックでも営業スタイルによって許可の種類が変わるため、自分のお店の方針を明確にすることから始めなければいけません。
接待を行うスナックに必要な「風俗営業1号許可」

スナックでお客様に隣に座って会話したり、カラオケを設置して合いの手をいれたりといった「接待行為」を行う場合は、必ず「風俗営業1号許可」が必要です。これは飲食店営業許可とは別に、警察署を通じて取得しなければなりません。
ここでは、許可の基本から要件、申請の流れまで順を追って解説します。
要件の種類 | 内容 |
---|---|
人的要件 | 経営者に欠格事由がないか ・5年以内に犯罪歴がある ・破産して復権していない ・未成年者 ・5年以内に風営法違反がある など |
立地要件 | 近くに保護対象施設がないか ・学校 ・図書館 ・病院 など |
施設要件 | 不適切な行為を防止するための基準を満たしているか ・照明が5ルクス以上 ・1メートル以上の仕切りや衝立がない ・外部から店内が見えない など |
風俗営業1号許可とは?
風俗営業1号許可とは、接待を伴う飲食店を営業するために必要な警察署の許可です。スナックで「お客様の席に同席して会話する」「お酒を注ぐ」といった接待を行う場合、この許可がなければ営業できません。
なぜなら、接待行為はトラブルや治安への影響が懸念されるため、法律で規制されているからです。ラウンジやキャバクラなども同じ許可が必要です。
スナックで接待を行うなら、風俗営業1号許可の取得が必須条件となります。
許可を取得するための「人的要件」
風俗営業1号許可を取るためには、経営者自身が「欠格要件」に該当しないことが条件です。過去に一定の犯罪歴がある人や破産して復権していない人、未成年者などは許可を得られません。
理由は、健全な営業を守るために経営者の信頼性が重視されるからです。たとえば、過去5年以内に風営法違反で処分を受けている場合も申請できません。
スナックを開業する前に、自分が人的要件を満たしているかを確認しておくことが不可欠です。
許可を取得するための「立地要件」
風俗営業1号許可では、店舗を開く場所にも制限があります。学校や病院、図書館など「保護対象施設」から一定距離以内では営業が認められません。
これは、地域の治安や生活環境を守るために設けられたルールです。たとえば、小学校の近くにスナックを開業することは基本的にできません。
物件選びの段階で立地要件を満たしているかどうかを確認しなければ、許可が下りない可能性があります。
許可を取得するための「施設要件」
風俗営業1号許可を受けるためには、店舗の構造にも基準があります。客席の見通しが良いことや、照度が一定以上あること、個室が基準外になっていないことなどが求められます。
見通しの悪い構造や暗い照明は、不適切な行為が行われるリスクを高めるとされるからです。不法な性行為や脱法薬物の使用などができないように厳しい要件が定められています。そのため、壁で仕切られた完全個室や極端に暗い店内は認められません。
スナックを開業する際は、内装工事の前に施設要件を確認しておくことが大切です。
申請から許可取得までの流れと期間
風俗営業1号許可を取得するには、まず図面や申請書などの必要書類を作成し、店舗所在地を管轄する警察署に提出します。申請から許可が下りるまでにはおおむね2か月程度かかるのが一般的です。
理由は、警察による書類審査や現地調査が行われるからです。立地要件や施設要件を満たしていなければ、再提出や修正が必要になります。
スナックをオープンする予定日から逆算して、余裕をもって申請手続きを進めることが重要です。
接待を行わないスナックに必要な「深夜酒類提供飲食店営業開始届」

スナックで「接待行為」を行わず、お客様にお酒を提供するだけであれば「風俗営業許可」は不要です。
しかし、深夜0時以降も営業を続ける場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を警察署に提出しなければなりません。
ここでは、この届出の基本的な内容から立地や施設のルール、営業時間の制限、具体的な手続きまでを整理して解説します。
深夜酒類提供飲食店営業とは?
深夜酒類提供飲食店営業とは、午前0時から午前6時までの時間帯に、接待を伴わずにお酒を提供できる営業形態を指します。スナックで接待をせずに深夜営業する場合は、この届出を行うことで営業が認められます。
深夜営業は近隣住民への影響が大きいため、警察が営業実態を把握する仕組みになっているからです。居酒屋やバーも同じ届出が必要です。
接待をしないスナックで深夜に営業したいなら、必ずこの届出を済ませることが条件となります。
守らなければならない「立地要件」と「施設要件」
深夜酒類提供飲食店営業でも、立地や施設には一定の基準があります。保護対象施設の近くでは営業が制限され、店内の構造にも見通しの良さや明るさが求められます。
理由は、治安や環境を守るために必要だからです。たとえば、暗い個室や仕切りの多いレイアウトは認められません。
スナックを開業する際には、立地と施設の基準を満たしているかを事前に確認しておかないと、届出を出しても受理されない可能性があります。
営業できる時間帯のルール
深夜酒類提供飲食店営業では、接待がなければ午前0時以降も営業できます。接待を伴わない限り午前6時まで営業が可能です。
なぜなら、風俗営業のように厳格な営業時間制限がなく、酒類提供のみであれば認められているからです。実際に、多くのバーやスナックが深夜2時や3時まで営業しています。
騒音や治安への配慮を欠くと行政指導を受ける場合もあるため、ルールを守りつつ地域との共存を意識することが重要です。
申請に必要な書類と手続きの流れ
深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出する際には、店舗の図面や営業開始届出書、誓約書などが必要です。また、営業開始の10日前までに管轄警察署へ提出しなければなりません。
警察が立地や施設の状況を確認し、基準に適合しているかを審査するのに時間がかかるからです。図面が不十分な場合は修正を求められることがあります。
届出は早めに準備し、必要であれば専門家のサポートを受けることで、スムーズに手続きを進められます。
共通して必要になる「飲食店営業許可」と消防法の手続き

スナックを開業する際は、接待の有無にかかわらず「飲食店営業許可」と消防署への各種手続きが必要です。どちらも欠かせない基盤となる許可であり、取得していなければ営業はできません。
ここでは、保健所での飲食店営業許可と、消防署に提出すべき届出について詳しく解説します。
保健所で必要な「飲食店営業許可」
飲食を提供する店舗を営業するには、必ず保健所から「飲食店営業許可」を取得しなければなりません。飲食店営業許可の申請は食品衛生基準に合った厨房や設備が整っていないと認められません。
食中毒などのリスクを防ぐために厳格な衛生管理が求められるからです。手洗い設備の設置やシンクの数など、細かい条件が定められています。
そのため、内装工事を行う前に保健所へ事前相談を行い、基準を満たす設計にしておくことが重要です。
消防署への手続き一覧
スナックは火を扱い、多くの人が集まる場となるため、消防署への届出も欠かせません。そのため、「防火対象物使用開始届」「防火管理者選任届」「消防用設備設置届」「消防計画の作成」の4つが必要です。
火災や災害時に安全に避難できる体制を整えるためです。たとえば、消火器や避難経路が整っていないと重大な事故につながります。
開業前にはこれらの届出を確実に行い、消防署のチェックをクリアすることが求められます。
防火対象物使用開始届出
新たにスナックを開業するときは、防火対象物使用開始届を消防署に提出します。これは「この建物で営業を始める」ということを消防に知らせる役割があります。提出を怠ると、万一の火災時に迅速な対応ができず、安全性が損なわれてしまうため注意が必要です。
防火管理者選任届出
一定規模以上の店舗では、防火管理者を選任し消防署に届け出る義務があります。火災発生時に避難誘導や消火活動を適切に行える責任者を明確にするためです。防火管理者は講習を受ける必要がある場合もあるため、早めに準備しておくことが大切です。
消防用設備設置届
消火器や火災報知器、誘導灯などを設置した場合は、消防用設備設置届を提出しなければなりません。これは、設置状況が消防法の基準を満たしているかを確認してもらうためです。適切な設備が整っていなければ許可が下りないので、専門業者に依頼して設計段階から準備することが望ましいです。
消防計画の作成
消防計画とは、火災が発生した場合の初期対応や避難誘導の手順をまとめたものです。従業員が複数いる場合は必ず作成しておく必要があります。計画を整えておくことで、いざという時に混乱せず行動でき、被害を最小限に抑えることができます。
許可取得後に守るべきルール

スナックの営業許可を取得したからといって、それで終わりではありません。実際には営業を続けるうえで守らなければならないルールが定められています。代表的なものは「許可証の掲示」「営業時間の遵守」「立入検査への対応」「違反時のリスク」などです。
ここからは、それぞれを具体的に解説していきます。
許可証の掲示義務
スナックを営業する際には、取得した許可証を店内の見やすい場所に掲示する義務があります。これはお客様や行政に対して「適正な営業をしている店舗」であることを示すために欠かせません。
掲示を怠ると、無許可営業と誤解されて指導や罰則を受ける可能性があります。カウンター付近や入口近くに掲示すれば、来店者も安心できます。許可証は単なる書類ではなく、信頼の証として必ず掲示することが重要です。
営業時間の遵守
スナックの営業時間は、取得した許可の種類によって制限が異なります。風俗営業1号許可では深夜0時以降の営業が禁止され、深夜酒類提供飲食店の届出をしている場合は0時以降も営業可能です。
このルールを守らずに営業を続けると、警察からの指導や罰則につながります。
「少しなら大丈夫」と考えていると、取り返しのつかないリスクを負うことになりかねません。
営業時間は必ず確認し、違反しないよう徹底することが必要です。
警察や行政からの立入検査対応
スナックでは、警察や行政による立入検査が行われることがあります。これは店舗が法律を守って安全に営業しているか確認するためのものです。
たとえば、接待行為が許可範囲を超えていないか、消防設備がきちんと機能しているかなどがチェックされます。
対応を怠ると「改善命令」や「違反処分」につながるため、常に書類や設備を整えておくことが大切です。
立入検査は特別なものではなく、日常的なチェックと考えると安心です。
違反した場合のリスク(営業停止や取消し)
許可を得ていても、ルールを守らなければ営業停止や許可取消しといった重い処分を受けることがあります。無許可営業や営業時間違反、接待行為のルール違反などが代表例です。
一度でも処分を受けると、再度の許可取得が難しくなるケースもあります。これは、信用を大きく失うことになるためです。
開業後は「守るべきルールをきちんと守ること」こそが、長く安心して営業を続けるための最も大切なポイントです。
許可取得をスムーズに進めるためのポイント

スナックの開業に向けて許可を取得するには、多くの手続きや要件確認が必要です。準備不足のまま申請すると、思わぬ不備で手続きが遅れたり、追加費用が発生することもあります。
ここでは、スムーズに進めるための具体的なポイントを紹介します。
書類作成や要件確認は専門家に相談すべき理由
結論から言うと、書類作成や要件確認は専門家に相談することで大きなメリットがあります。許可申請では多くの書類が必要で、少しの記載ミスや添付不足でも差し戻され、時間が無駄になってしまいます。
行政書士などの専門家は、法律や条例に基づいた正確な書類を作成できるため安心です。手続きがスムーズに進み、開業計画に遅れが出にくくなります。
無駄な労力や不安を減らすためにも、専門家への相談は賢い選択です。
許可申請にかかる費用と時間の目安
スナック開業に必要な許可取得には、費用と時間がかかります。「風俗営業1号許可」の場合は数十万円の申請費用と、約2か月程度の審査期間が必要です。一方、「深夜酒類提供飲食店営業開始届」は数万円程度で、申請から営業開始までの期間も短めです。
費用や期間は地域や店舗条件によって変動するため、事前に確認しておくことが重要です。開業資金の中に、申請費用や専門家報酬も含めて計画しておけば安心でしょう。
資金計画とスケジュールを立てることが、スムーズな開業につながります。
許可取得前に準備しておきたいこと
許可申請を円滑に進めるには、事前準備が欠かせません。店舗の図面、従業員の名簿、消防や保健所に提出する書類などを早めに整えておくことが必要です。
また、立地条件や設備要件を満たしているかどうかも重要です。後から工事や修正が必要になると、費用や時間が余計にかかります。
開業に向けたスケジュールを逆算し、必要書類や条件を早めに確認しておくことで、許可取得をスムーズに進められます。
まとめ|スナック開業の許可を取得するために
スナックを開業するには「接待の有無」によって必要な許可が変わります。接待を行う場合は「風俗営業1号許可」、接待がない場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」が必要です。さらに共通して「飲食店営業許可」や消防署への届出を済ませなければ営業できません。
許可取得には「人的要件」「立地要件」「施設要件」を満たす必要があり、書類や手続きも多岐にわたります。不備があれば差し戻され、開業スケジュールに遅れが出てしまうリスクも高いです。だからこそ、開業準備を成功させるためには、必要な許可を整理し、早めに行動することが欠かせません。
また、許可を取った後も「許可証の掲示」「営業時間の遵守」「立入検査への対応」といったルールを守ることが大切です。違反すれば営業停止や取消しにつながる可能性もあるため注意が必要です。
スナック開業の道のりは複雑ですが、行政書士などの専門家に相談すれば、要件確認や書類作成がスムーズに進みます。安心して開業をスタートさせるためにも、専門家のサポートを受けながら、一歩ずつ準備を整えていきましょう。
当事務所はどんなご相談でも丁寧にお話をおうかがいします。
初回無料となっておりますので、ささいなご相談でもお気軽にお問い合わせください。
