許認可(農業分野)

沖縄県の農地バンクについて解説!農地を借りる方法やメリット・デメリットもご紹介

2025年6月24日

沖縄で家庭菜園を始めたい、定年後に小さな農業をやってみたい、あるいは新規就農を目指している——そんな思いを抱いて、農地を借りたいと考えている方は少なくありません。

しかし、実際に農地を借りようとすると「制度がよくわからない」「どこに相談すればいいのか不明」といった“制度の壁”にぶつかってしまう方が多いのも事実です。

特に30代から60代の方で、農業は未経験でも地域の土地を活かしたいという思いを持つ方は増えています。
「農地バンクって何?」「農地法って難しそう…」と不安を感じるのは、あなただけではありません。

農地を借りるには、大きく分けて次の2つの方法しかありません。
1つは、沖縄県の農地バンクを利用する方法。もう1つは、農地法第3条に基づいて農業委員会の許可を得る方法です。

農地バンクの利用は比較的わかりやすいですが、農地法3条による許可申請は、法律に関する知識や行政手続きの経験が求められます。
そのため、この申請は行政書士のような専門家に依頼するのが安心で確実です。

この記事では、「農地バンクとは何か」「どのように使えるのか」、そして「農地法3条の許可申請の内容や流れ」について詳しく解説していきます。
あなたにとって最適な方法がどちらなのか、ぜひ最後まで読んで判断材料にしてください。

沖縄県の農地バンクとは?

沖縄で農地を借りる際に注目すべき仕組みが「農地バンク」です。
まずは、正式名称や運営者、その具体的な役割を押さえ、実際に何ができるのかを理解しましょう。

農地バンクの正式名称と役割

農地バンクは正式には「農地中間管理機構」と呼ばれ、農地の貸し借りの橋渡し役を担います。

農地所有者と担い手(借り手)を結びつけ、地域の農地が放置されないように管理・集積・貸付を行うためです。

沖縄県では公益財団法人沖縄県農業振興公社が県知事から指定を受け、平成26年4月から機構として活動しています。遊休農地や所有者不明地でも借り手が見つかれば活用されます。

つまり、農地バンク=安心して農地を借りたい人と貸したい人をつなぐ“公的な中間業者”なのです。

沖縄県の農地バンクを運営している機関

運営主体は公益財団法人沖縄県農業振興公社で、農地中間管理機構として唯一指定されています。

県知事の指定を受けることで、農地の集積や賃借契約、管理といった一連の業務が正式に行えるからです。

本社は南風原町にあり、北部・中部・宮古・八重山など各地域に駐在拠点が設置されています。利用者は最寄りの市町村農政担当窓口へ相談でき、機構が窓口と連携しています。

そのため、沖縄全域の農地貸借を、地域に根差した体制で支援してくれる仕組みが整っています。

公益財団法人 沖縄県農業振興公社
〒901-1112
沖縄県島尻郡南風原町字本部453番地3 (土地改良会館3F)
TEL:098-882-6801

沖縄の農地バンクでできること

農地バンクでは、農地の賃借だけでなく、集積・管理・整備・売買支援まで幅広く対応しています。

機構が農地を借り受けて適切に整備・管理し、担い手への貸付を通じて効率的な活用を図るからです。

具体的には、農地の集約、集積協力金の交付、遊休地解消、貸付・賃借契約の手続きや賃料徴収、そして特例を活用した農地の売買サポートも行っています。

つまり、農地バンクを利用すれば、農地を「見つけて・借りて・管理する」まで、一貫した支援を公的機関が提供してくれるのです。

沖縄県の農地バンクを利用して農地を借りる方法

沖縄県の農地バンクを活用すれば、農地を探して借りるまでの一連の流れがスムーズになります。
ここでは「登録〜契約までの流れ」「相談先・窓口」「利用時の注意点」について、具体的かつ分かりやすく解説します。

利用の流れ(登録・相談・マッチング・契約)

農地バンクを使う際は「登録→相談→マッチング→契約」の順で進めるのが基本です。

この仕組みは、農地所有者と借り手の希望条件をしっかりすり合わせ、安心して借りられるよう設計されているからです。

まず、農地バンクに借り手として登録し、市町村の農政窓口に相談。登録済み農地から希望地を選び、農業委員会が所有者と調整しマッチング。条件が整ったら、農地中間管理機構や市町村の窓口を通じて契約手続きに進みます。

この流れを踏むことで、個人間のトラブルを避けながら、安全に農地を借りることが可能です。

沖縄県内の農地バンク窓口一覧(例:各市町村・農業委員会)

窓口は県・市町村・農業委員会など、地域ごとに設置されており、最寄りで相談できます。

全国統一の仕組みですが、地域の実情を踏まえた運営が必要なため、地方ごとの窓口が重要です。

南風原町や沖縄市など各自治体の農政担当課をはじめ、沖縄県農業振興公社が設置する農地中間管理機構の拠点窓口、農業委員会の窓口も活用できます。各市町村の窓口は県公式サイトで一覧公開されています。

そのため、自宅や借りたい地域にある窓口に相談すれば、地域に即したアドバイスと支援が受けられます。

利用にあたっての注意点(条件・制限など)

農地バンクを利用するには、一定の条件を満たす必要があります。

制度の目的は「農業を担う人に農地を貸すこと」であり、家庭菜園などの軽微な利用は対象外だからです。

新規就農や認定農業者として登録されていること、集落との調和や農業計画を持っていることが要件となります。また、地点によっては荒廃が進んだ農地は非登録となるため、希望地がすぐには借りられないこともあります。

したがって、利用前には「自分が条件を満たしているか」「希望地が登録済みか」を窓口で確認することが不可欠です。

農地バンクを使って農地を借りるメリット・デメリット

農地バンクは公的な仕組みであるため、安心して農地を借りたい人にとって非常に便利な制度です。
しかし、すべてのケースに最適とは限らず、利用にあたっては事前にメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。

メリット|条件に合えばスムーズに借りられる/相談体制が整っている

農地バンクの最大のメリットは、公的支援のもとで安心かつスムーズに農地を借りられる点です。

制度として整備されており、条件を満たせば登録農地とのマッチングが迅速に進むからです。
また、沖縄県内には各地域に相談窓口が設置されており、農業初心者でも不安なく進められます。

たとえば、農業経験が浅い方でも、各市町村の農政担当や農業公社に相談すれば、希望条件に合う農地の紹介や、契約に必要な手続きまで丁寧にサポートしてもらえます。
民間の不動産取引とは異なり、トラブルのリスクも低くなります。

つまり、農地バンクは信頼性と手厚いサポートが魅力の制度といえるでしょう。

デメリット|借りられる農地が限られる/手続きに時間がかかる場合も

一方で、農地バンクには「希望通りに借りられない可能性がある」というデメリットも存在します。

登録農地には限りがあり、場所や条件によっては希望に合う農地が見つからないケースもあるからです。
また、手続きが公的機関を通じて進むため、場合によっては時間がかかることもあります。

たとえば、農地の所有者との調整や農業委員会の審査に時間を要することがあり、「すぐに農地が欲しい」と考えている方には向かない場面もあるでしょう。
人気エリアでは空きが出るまで待たされることもあります。

そのため、利用前には「時間に余裕をもって行動すること」や「他の選択肢との比較」も必要です。

農地法3条による農地の賃借とは?

農地を借りる方法は、農地バンクのほかに「農地法第3条による手続き」があります。
この制度は、農地を借りたり買ったりする際に必ず関わってくる法律であり、個人同士での契約にも適用されます。

ここでは、農地法3条の基本的な仕組みと、許可の必要性、申請手続きの流れについてわかりやすく解説します。

農地法3条とは何か?簡単な制度の説明

農地法3条とは、農地を他人に貸したり売ったりする際に必要な「許可制」のルールです。

農地は国の食料供給や地域の農業振興に関わる重要な資源であり、無秩序な転用や売買を防ぐためにこの制度が設けられています。
そのため、たとえ親族間での貸し借りでも、原則として農業委員会の許可が必要になります。

たとえば、知人から農地を借りて家庭菜園を始めたいと思っても、許可を取らずに契約すると違法になることがあります。
農地法3条は、そうしたトラブルを未然に防ぐ役割を持っています。

つまり、農地の利用には法的なルールがあり、正しく借りるためには3条の理解が欠かせません。

許可が必要な理由と、許可を出す機関(農業委員会)

農地法3条の許可が必要なのは、農地を守り、適切に使ってもらうためです。

農地は簡単に手放せる土地ではなく、地域の農業政策や景観にも影響するため、きちんと管理する必要があります。
この許可制度によって、農業をやる意思と能力のある人にのみ農地を貸せるようになっています。

許可を出すのは、市町村ごとに設置されている「農業委員会」です。
ここで、借り手が実際に農業を行うのか、耕作放棄しないかなどが審査されます。

農業委員会の許可は、「農地の適正利用」と「地域農業の発展」を守るための大切な制度なのです。

申請手続きの流れと必要書類

農地法3条の許可を得るには、定められた手順に従って申請する必要があります。

この手続きを怠ると、契約が無効になったり、罰則を受ける可能性もあるため、正確な申請が欠かせません。また、申請には一定の時間と書類準備が必要なため、余裕を持った対応が求められます。

一般的な流れとしては、①農業委員会に事前相談、②必要書類の提出、③農業委員会の審査・許可、という3段階です。

必要書類には、賃借契約書の案、地図、公図、申請書などがあります。
自治体によって若干異なることもあるため、必ず窓口で確認しましょう。

正確な書類準備とスケジュール管理が、許可取得への第一歩となります。

農地法3条許可で農地を借りるメリット・デメリット

農地バンク以外にも、個人間の契約で農地を借りる方法として「農地法3条許可」を利用するケースがあります。この方法には、柔軟な交渉ができるというメリットがある一方で、専門的な知識や手続きのハードルも存在します。

ここでは、農地法3条許可を使って農地を借りる際の、主なメリットとデメリットを整理してお伝えします。

メリット|自由度が高く、個別の条件交渉が可能

農地法3条による賃貸借は、自由度が高く、個別の事情に応じた契約ができるのが大きなメリットです。

農地バンクを介さず、地主との直接交渉で条件を細かく調整できるため、希望に近い形で契約できる可能性が高くなります。
契約期間や賃料、利用方法などを柔軟に取り決めることができます。

たとえば、「週末だけ使いたい」「短期間だけ借りたい」といった特殊な希望がある場合でも、当事者同士で合意できれば契約が可能です。
農地バンクでは対応できないニーズにも柔軟に応じてもらえる点が魅力といえます。

つまり、農地法3条許可を使えば、個別の状況に合わせた農地利用が実現しやすいのです。

デメリット|専門的な知識が必要/許可が下りないケースも

一方で、農地法3条による契約には専門的な知識が求められ、許可が下りないリスクもある点がデメリットです。

この手続きは法律や地域の農業政策と深く関わっており、書類の作成や条件の確認に一定の知識が必要です。申請内容に不備があると、許可が下りなかったり、手続きが大幅に遅れたりする可能性もあります。

たとえば、借り手に農業を継続する意思や能力がないと判断された場合、農業委員会は許可を出しません。また、地目変更がされていない土地を農地として借りるなどのミスも許可の障害になります。

このように、自由度は高いものの、法律面や実務においては慎重な対応が必要となります。

農地法3条許可申請は専門家(行政書士)に依頼するのが安心

農地法3条の許可申請は法律の専門知識や複雑な手続きが必要なため、初めての方には大変な作業です。
そこで、申請のプロである行政書士に依頼することで、スムーズで確実な申請が期待できます。

このセクションでは、行政書士に依頼するメリットや、自分で申請する場合との違い、そして信頼できる行政書士の探し方について解説します。

行政書士に依頼するメリットとは?

農地法3条許可申請は専門的で複雑なため、行政書士に依頼すると安心です。

行政書士は法律知識と手続き経験が豊富で、申請書類の作成から提出まで正確に対応できます。
不備や誤りを防ぎ、許可取得までの期間を短縮できるのも大きなメリットです。

たとえば、自分で申請すると書類の不備で何度も修正が必要になる場合がありますが、行政書士は事前にチェックし適切なアドバイスをくれます。
また、農業委員会とのやりとりも代行してくれるため、精神的な負担も軽減されます。

つまり、手続きの専門家に任せることで安心・確実に許可を得られるのです。

自分でやる場合との比較(時間・手間・確実性)

自分で申請する場合と比べ、行政書士に依頼すると時間や手間が大幅に削減できます。

申請手続きは書類の準備、役所への提出、修正対応など多くの工程があり、慣れないと非常に負担がかかります。専門知識がないと書類不備で許可が遅れたり、最悪不許可になることもあります。

たとえば、初めての方が自分で申請した場合、何度も役所に足を運んだり、資料を集め直す時間がかかります。対して行政書士はこれらを一括して代行し、許可までの手続きがスムーズに進みます。

結論として、確実に早く申請を終えたいなら行政書士に依頼するほうが安心です。

農地の賃借に強い行政書士の探し方

農地の賃借に詳しい行政書士を探すには、専門分野や実績を重視することが大切です。

農地法は複雑で地域ごとの慣習もあるため、経験豊富な行政書士でないと適切なサポートが受けられません。実績が多いほど手続きのスムーズさや安心感が増します。

探す際は、行政書士会の検索サービスや地元の農業関連団体の紹介を利用すると良いでしょう。
また、問い合わせ時に農地法3条許可の申請経験の有無や成功例を確認するのもおすすめです。

信頼できる専門家を選べば、安心して申請を任せることができます。

まとめ|農地を借りる前に知っておくべきこと

農地を借りる際は、大きく分けて「農地バンクを利用する方法」と「農地法第3条の許可を取得する方法」の2つがあることをまず押さえておきましょう。

農地バンクは沖縄県が運営し、借り手と貸し手を仲介する仕組みです。
一方、農地法3条許可は、農業委員会の許可を得る必要があり、申請には専門的な知識が求められます。

自分で手続きを進めることも可能ですが、書類の不備や法律の複雑さから手間や時間がかかることが多いです。そこで、許可申請に慣れた行政書士に依頼することを強くおすすめします。

行政書士は申請書類の作成や役所とのやりとりを代行し、スムーズで確実な許可取得をサポートします。
特に農地に関する経験豊富な専門家なら、あなたの負担を大幅に軽減し、安心して農地を借りられる環境を整えてくれます。

農地利用は地域の農業と密接に関わる重要なテーマです。
ぜひ、この記事を参考にして、信頼できる行政書士と一緒に適切な手続きを進めてください。

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